99%アンドロイド
2.僕はトウボウする
カウントダウン
今日の朝食も野菜多めのメニューになった。
「……A、今日も野菜が多くないか?自業自得なのは分かっているけど…」
ハカセはフォークをトマトに刺し、「はぁ」とため息をついている。
「俺、そんなに不健康かなぁ」
ボクはといえば、昨夜に施しておいた朝のプログラムのせいで、朝の挨拶とあの夢のこと以外は口にできないようになっていた。
それが返ってハカセに不審感を抱かせるとは予測していなかった。
ボクのシミュレーション不足だ。
「……なぁ、A。どうしてお前は今日そんなに口が固いんだ?どこか悪いとこでもあるのか?」
「………」
「……俺が昨日変なところいじっちまったかな…。いやでも、そんなはずは…」
ボクが喋らないせいで、ハカセはずっと独り言を言っている。
ああでもない、こうでもない、どういうことなんだ?
トマトをくちゃくちゃと噛みながら、昨日の修理のことをハカセは思い出しているようだった。
「………」
言うんだ、ボク。
ボクはハカセに、今にでも夢の話をしようとしていた。
だけど、なぜか口が重く、うまく開くことができない。
『言っちゃだめだ、A!』
あの「声」が、ボクのシステムを邪魔しているみたいだった。
ボクは言うんだ。
今から、絶対に___。
ボクは必死で、その邪魔者を排除しようとしていた。