Flower~シアワセノカタチ。
「あ、この公園!懐かしい」
学校の近くにある公園
そこはいつも2人で遊んだ思い出の場所
幾度となく腰掛けたベンチを座ると
2人とも何かを察してか会話が途絶える
「……」
「…………」
「咲ー?俺居なくなるの寂しくない?」
沈黙を破る奏太
「んー?大丈夫」
「でも一葉くんも家出るんでしょ?」
「うん、アイツは仕方ない」
一葉【いちよう】は私の兄だ
3つ違いの兄も高校を卒業し家を出る
【別れがあるから出会いがある】
誰かはそう言っていたけど
また誰かと出会ってしまえば
それは別れの始まりに過ぎない
みんなが離れ離れになるこの季節は嫌いだ
「咲さー強がんなくていいよ」
「強がってない……強がりじゃなくて強いんだよ」
「なんだそれ」
いつも遊んでいた場所‥‥
次はいつ来れるのだろう
そんなことを考えていると涙が溢れて来そうになって
茜色の空を仰ぐ
「咲……楽しかったな」
「うん」
それは心からの思い
「咲?」
「何?」
「さーき!!」
「だから何?!」
しつこく名前を呼ばれる
奏太の方を向くけれど
彼の顔は夕日に照らされ表情を見ることが出来ない