秘匿されし聖女が、邪に牙を剥ける時〜神殿を追放された聖女は、乙女ゲームの横行を許さない
ファビオの指差したその先は、煌々と灯りが点る公爵家の本邸。夜会真っ最中の会場だった。
中の灯りに照らされて、人影がチラホラと見える。顔まではよく認識出来ないが。
目の前は広いバルコニー。そこには会場から離れて外に出て夜風に当たる男女の姿もちらほら。
「にひひひ。若いお兄ちゃんお姉ちゃんお貴族サマが逢瀬しとる。ランデヴー」
「らんでぶー?……って、あぁっ!」
思わず声をあげてしまった。
何故ならば、バルコニーにいる男女が体をくねくねと寄せ合っていて……なんと。キスをしていたのだ。
見てはいけない男女の秘め事、見てしまった。
見てしまった……!
「うーん。こりゃ、休憩室コースだな」
「あわわ……」
そして、ファビオの言う通り。キスをして体をピッタリとくっつけたままの男女は、肩を抱いてバルコニーを去ってしまった。ホントに休憩室行くの?
男女の逢瀬の深いところを初めて目撃してしまった私は、衝撃を隠せない。顔がカーッと熱くなるのがわかる。
成人前のお子ちゃまにはキツイ……!
「ラヴィちゃん、そんなに照れるなよー。オトナになったら皆こんなもんだぜ?」
「そ、そんなこと」