秘匿されし聖女が、邪に牙を剥ける時〜神殿を追放された聖女は、乙女ゲームの横行を許さない
きっと、このままでは……あの時と同じ表情でいたらまた、あの時と同じことが繰り返されるような気がする。
相手だけではなく、自分をも傷つけるような誤ち、悲劇が。
でも、それはきっと、アルフォード様の意ではない。
ラベンダー畑でのあの懺悔が、紛れもないな証拠。
……この、てんとう虫が。禍々しい光を放つこの赤い星が、彼を狂わせているのだ。
ふわふわと辺りに浮かぶ赤い光を、敵意を込めてキッと睨みつける。
アルフォード様……その変わってしまった顔で、同じことを繰り返してまた、誤ちを嘆くのですか?
また、後悔するのですか?
私は……貴方の悲しむそんな顔は、二度と見たくない。
私が見たい貴方の顔は、花の蜜のように甘く、陽だまりのようなーー優しい笑顔。
アルフォード様を、二度とあのような。
心が泣いた思いを、してほしくはない。
(……あっ!)
私の周りにチラついていたてんとう虫は、私が振り払ったことにより、風に乗ってふわふわと流れていく。
アルフォード様のいる方向へ。
そして、アルフォード様の服の袖やら、首元やら、肩にぽつりぽつりと留まっていく。
「……だめ!」