秘匿されし聖女が、邪に牙を剥ける時〜神殿を追放された聖女は、乙女ゲームの横行を許さない

私が彼に何をしたか?

それは、よくわからないけど……でも、それを諸悪の根源であるローズマリー令嬢には言われたくはない。

てんとう虫云々より、元はと言えば、このローズマリー令嬢を信奉かのごとく盲目的に愛したがために、アルフォード様は後悔するほどの奇行に走らされた。

そして、その悔恨のあまり、剣を手放すこととなったのだ。

アルフォード様の心を泣かせる原因となったのも、あんな切ない表情にさせたのも、元はと言えば、このローズマリー令嬢。

そう思うと、憤りを感じては私も怒りを覚える。

(……許されない!)



「……退いてください!」

「待って、質問に答えなさい!」

そう言って、今度はローズマリー令嬢が私の腕を掴んだ。

……だが、そこでまたしても悲鳴が上がったのだった。



「……きゃぁっ!」



ローズマリー令嬢が私に触れた途端、悲鳴をあげて咄嗟に手を引っ込めた。

同時にバチン!とジュゥゥッ!と焼けるような音も響く。一瞬だが、強風も巻き起こって顔が若干風に煽られる。

その音と風に私も驚かされる。風に煽られて視界が悪くなりながらも、そんな中で目にしたのは、ローズマリー令嬢が私を触った手を抱えて痛みに蹲っている姿だった。

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