秘匿されし聖女が、邪に牙を剥ける時〜神殿を追放された聖女は、乙女ゲームの横行を許さない
公爵様の打ち明けた話に、声が出そうになるほど驚愕したのは、言うまでもない。
今の公爵様の話……本当でしょうか。
だとしたら、公爵様は、真実の愛で結ばれたアルフォード様とローズマリー令嬢を引き離したという……。
公爵様がアルフォード様を領地に連れ帰ったのは事実ではあるが、そんな言い方はいかがなものか。
……いやいや、そんな話は問題ではなく。
そんな自分よがりな話で、受付の人を泣き落としただなんて。
こんな美女に泣き落とされたら、受付の人も懐柔されてしまうのか。
いや、過激なことを言って泣き落としてくるものだから、危険人物と見做され、対応しきれなかったのかもしれない。
何はともあれ、ローズマリー令嬢を中に入れてしまった人、恐らくタダでは済まない。
受付の人、ご愁傷様である。
一方、ルビネスタ公爵様に、受付での顛末を知られたことに気付いたローズマリー令嬢は、涙を目に溜めたまま怯える姿勢は変わらない。
「そ、そんな、ルビネスタ公爵!私とアルが真実の愛で結ばれているのは事実で……!」
「その真実の愛とやらで愚息は醜聞まみれとなった、その原因となった貴女の話に耳を貸すとお思いか?……トルコバス侯爵令嬢!」