秘匿されし聖女が、邪に牙を剥ける時〜神殿を追放された聖女は、乙女ゲームの横行を許さない

「こんな時におねんねって、本当、カッコ悪いったらありゃしないんだから。……ミモザ」

「かしこまりました」

サルビア様に命じられたミモザさんが護衛の方々に「お願いします」と言うと、護衛の方々はバラバラと動き出していた。



そんな中でも、公爵様とローズマリー令嬢の話し合い(口論?)は続いているようだった。




「……そういうわけで、大事なお父様にお叱りを受けたくなければ、早急にお帰り頂こうか。トルコバス侯爵令嬢」

「ま、待って下さい、ルビネスタ公爵!この夜会に聖女見習いが!……神殿の手の者が、潜入していたんです!神殿が動き出している証拠です!」

そう言って、ローズマリー令嬢は私の方を指差した。

私が神殿の刺客説……まだ、続いていたのか。



だが、公爵様は目を細めて顔を顰める。

「夜会に神殿の手の者が潜入?……はあぁぁ?」

貴族らしかぬ、砕けた口調になるほど不快感を示す。

「言っとくけどなぁ?ラヴィは、貧乏根性つくぐらい神殿勤めをしていたが、そんなものの前に、俺の大事な親友夫妻の大事な娘だ。それに、夜会開催から公爵家に身を寄せてたぞ?」

「えぇっ!夜会前から公爵家に潜入してただなんて!」

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