秘匿されし聖女が、邪に牙を剥ける時〜神殿を追放された聖女は、乙女ゲームの横行を許さない
私もビックリした。なんせ、私が神殿の刺客だとか、夜会に潜入して悪巧みをしているとか。なんという想像力か。
よくもまあ、その場しのぎで保身に走れるものだ。変わり身の早さはお見事としか言いようがない。
だけど、ルビネスタ公爵様が駆け付けてくれてよかった。
そうでなければ、私だけでは対応しきれなかった。何やら意味不明な単語を呟いたり、言い掛かりをつけてくるローズマリー令嬢は、ただ恐ろしかった。
「ラヴィ、大丈夫か。って、その格好は何だ?メイド服なんか着て。そんなのより、俺が買ってやったピンクのワンピースの方が絶対似合うぞ」
「公爵様……ありがとうございます。公爵様が来て下さらなかったら、私、どうしていいかわかりませんでした」
「大丈夫だ、もう大丈夫だからな?そんな怯えるんじゃない!俺が着いてるから大丈夫だ!……俺、カッコ良かった?なんならお義父様って呼んでもいいんだぞ?」
「……」
……何故、公爵様をお義父様と?
まさか、両親が亡くなった時に立ち消えた養子縁組の話だろうか。
「ーーー全然、大丈夫じゃないよ。公爵様」