秘匿されし聖女が、邪に牙を剥ける時〜神殿を追放された聖女は、乙女ゲームの横行を許さない
「……本当は、こっちでお祝いしてやりたかったんだけどな?」
「え?」
急な話の振りに、何のことか分からず首を傾げた。
公爵様は、少々残念そうな寂しそうな顔をしている。
「誕生日だよ。アルフォードがいろいろ考えていたぞ?ラヴィの誕生日パーティ」
「あっ……」
《取り敢えず、楽しみにしてて?》
そうだ、誕生日パーティを企画してくれると言われていた。詳細は内緒で楽しみにしててとだけ告げられた、私の細やかな楽しみ。
公爵様もご存知だった。
……だが、その誕生日パーティの内緒の部分を聞かされて、驚愕するのは間もなく。
「……アル、ラベンダー畑にある四阿の改装をしてたんだ。おまえの誕生日パーティをそこでやるってさ」
「ラベンダー畑に……四阿ですか?!」
「おう、そうだ。畑の端っこに古いボロボロの四阿があるの、知らなかったか?」
「……」
見たことあるような、無いような……それほど、存在感も薄く古ぼけていたということか。
だけど、四阿の改装?まさかアルフォード様がそんな大掛かりな企画をしていたとは、知らなかった。