秘匿されし聖女が、邪に牙を剥ける時〜神殿を追放された聖女は、乙女ゲームの横行を許さない

「……本当は、こっちでお祝いしてやりたかったんだけどな?」

「え?」


急な話の振りに、何のことか分からず首を傾げた。

公爵様は、少々残念そうな寂しそうな顔をしている。



「誕生日だよ。アルフォードがいろいろ考えていたぞ?ラヴィの誕生日パーティ」

「あっ……」



《取り敢えず、楽しみにしてて?》



そうだ、誕生日パーティを企画してくれると言われていた。詳細は内緒で楽しみにしててとだけ告げられた、私の細やかな楽しみ。

公爵様もご存知だった。

……だが、その誕生日パーティの内緒の部分を聞かされて、驚愕するのは間もなく。



「……アル、ラベンダー畑にある四阿の改装をしてたんだ。おまえの誕生日パーティをそこでやるってさ」

「ラベンダー畑に……四阿ですか?!」

「おう、そうだ。畑の端っこに古いボロボロの四阿があるの、知らなかったか?」

「……」

見たことあるような、無いような……それほど、存在感も薄く古ぼけていたということか。

だけど、四阿の改装?まさかアルフォード様がそんな大掛かりな企画をしていたとは、知らなかった。

< 190 / 399 >

この作品をシェア

pagetop