秘匿されし聖女が、邪に牙を剥ける時〜神殿を追放された聖女は、乙女ゲームの横行を許さない
アルフォード様と初めてお会いした、初めて恋をした、あのラベンダー畑。
母と同じ景色を見て思いを馳せた、そしてどん底にいても励もうと、前を向こうと決意した、私の思い入れのある、あの花畑でお祝いしようとしてくれていたなんて……!
(アルフォード様っ……)
「まあ、アルがあんな状態だし、おまえも神託受けるために王都に行く事になっちまったから無理かもしんねえけどよ?」
「……」
公爵様は残念そうに呟くが……私は、アルフォード様のその思いだけで、もう胸がいっぱいで。感動で、熱いものが胸に込み上げてくる。
私にとって、あのラベンダー畑は特別なものであることを、アルフォード様が理解してくれたことが、ただ嬉しくて。
込み上げてきた想いは……痺れるといった感覚に近い。
《……それは、とても素敵な話だね?》
そう言ってくれた、昔のアルフォード様の屈託のない笑顔と、最近まで見ていた甘くて美しい大人の笑顔を思い出すと、更に込み上げてきたのだった。
アルフォード様に、お会いしたい……。