秘匿されし聖女が、邪に牙を剥ける時〜神殿を追放された聖女は、乙女ゲームの横行を許さない
今度は、私がマーガレット姐さまに縋り付いた。
もう、心配だった。毒に侵されて苦しんでいた皆んなのこと、ただそれだけが。その後、どうなったか分からずにいたので、ただそれだけが気掛かりだったのだ。
マーガレット姐さまは私の頭を撫でて、いつものように明るく笑う。
「うふふ。大丈夫よ、ラヴィ。見習いの子たちは全員無事よ?私たちが全力で処置したんだもの。毒の後遺症もなく、今は元気に働いているわ?」
「そ、そうですか、よかった」
「……みんなには、密かに事情を話してるの。毒殺未遂の犯人はラヴィじゃないってみんなわかってるから、安心して?むしろ、ラヴィがそんなことするはずがないから当然って、みんな口を揃えて言ってたわよ?」
「お姐さまっ……!」
よかった、本当に良かった。みんながもう元気になってくれていて。
しかも、私が犯人じゃないと信じてくれていた。本当に嬉しい。もう、涙が出そうだ。
「ラヴィ、泣きそうになってるぞ?おまえ、おやつ食って元気出したほうがいいんじゃないのか?」
「……今、おやつはいりません、ランクルーザー様」
おやつを食べている場合じゃないのだ、今は。