秘匿されし聖女が、邪に牙を剥ける時〜神殿を追放された聖女は、乙女ゲームの横行を許さない

……だが、このアトレイ様の確保が転機となるのだ。



私が神殿を出て公爵領へと向かうその最中から、お兄様の部下である聖騎士団は神殿内の調査を極秘に始めていたよう。

私を送って王都に戻ったお兄様も合流して、神殿内の極秘調査は続けられた。

聖騎士団の長く地道な調査の甲斐あって、確保されたのは……神殿内の一神官。

アトレイ様の部屋には、使われたものと同じ毒物が発見されたそうだ。



聖騎士団によって確保され、尋問されたアトレイ様。

最初は黙秘を貫いていたそうなのだが、聖騎士団の副長であるお兄様が、取り調べに加わるなりカマをかけてアトレイ様をわざと怒らせたらしい。

そんなアトレイ様が興奮しながら言い放った台詞とは。



『我々の、女神の邪魔をするから排除したまでだ!我が女神に仇なす者は、命を以って償え!我々は女神と共に悪を倒さねばならないのだ!』



何やらワケのわからないことを言っているが、自分が毒を入れたとあっさりと自白してしまったアトレイ様は、決定的な言葉を口にしてしまう。



『悪を倒す、女神ローズマリーの邪魔は誰にもさせない!』



……これで、アトレイ様の動機、その背後にいる人物がわかってしまった。

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