秘匿されし聖女が、邪に牙を剥ける時〜神殿を追放された聖女は、乙女ゲームの横行を許さない

「……アトレイ神官は、ローズマリー・トルコバス侯爵令嬢の信奉者ともいえる発言をしていた。これで、ローズ……トルコバス侯爵令嬢と、この毒物混入事件との繋がりがとれた」

「牢で取り調べを受けるアトレイ神官を観察してみたけど、あの時の殿下らと様子が似ていた。……ひょっとしたら、アトレイ神官も同じ状態なのかもしれない。ラヴィに見てもらえれば、わかるのかもしれないけど」

「アトレイ様の周りにもてんとう虫がいるかどうか、ですか?アトレイ様はどこに?」

「……神殿の地下牢にいるわ」

「……そうですか」



段々と、私は言葉を失っていた。

あの、禍々しいてんとう虫を発して、アルフォード様らを狂わせていたローズマリー令嬢がまさか、神殿の毒物混入事件とも関わりがあるだなんて。

実行犯がアトレイ様だったとしても、アトレイ様はローズマリー令嬢のためにやったと言ってるようなものだ。

私の大切な仲間を苦しめたのは、直接的ではなくても……あの、ローズマリー令嬢が原因。

その事実がわかってくると、膝に置かれた手が握られて拳となり、力が入ってふるふる震えてくる。

どこまでもローズマリー令嬢、なんで……!
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