秘匿されし聖女が、邪に牙を剥ける時〜神殿を追放された聖女は、乙女ゲームの横行を許さない
(許せない……!)
「な、なんでっ……ローズマリー令嬢は何で、何をしたいのですかっ……」
「ラヴィ……」
何らかの力でアルフォード様や王太子様らを狂わせ、侍らせて。
アルフォード様に、消えない後悔の傷跡を心に残して。
神殿への妄想的な批判も強く、アトレイ様にも罪を犯させ、私の仲間を苦しめて。
「ローズマリー令嬢の目的は、いったい何なのですか……!」
彼女は、何を考えているの?いったい何がしたいの……?
「それは、私たちにもわからない」
そうきっぱりと言い切るのは、アゼリア様だった。
「侯爵令嬢は、貴族令嬢でありながら突拍子もないことを言い出したり、思い込みが激しかったりする令嬢だった。何かを思い込んで行動しているような感じが見受けられるのだけど……そこの目的は、まだわかってないの」
「現在、侯爵領の調査も進めている。わかったことは……トルコバス侯爵家は魔術師団を抱えていて、令嬢なそこに出入りをしていたという証拠は掴めている」
「魔術師団に出入り?!」
ということは、ローズマリー令嬢は魔術に手を出していたという可能性があるの?
だとしたら、そこで【魅了】を取得したという可能性も……出てきた。