秘匿されし聖女が、邪に牙を剥ける時〜神殿を追放された聖女は、乙女ゲームの横行を許さない

信じていた通り、この一連の経緯にはやはり意味があったのだ。

今までのことは全て、精霊王様の思し召しである、と。

……なら、私も全て受け入れて、立ち向かうしかない。

自分のためにも全てを終えて、公爵領に戻るため。アルフォード様のところへ、あのラベンダー畑へ帰るため。



馬車を降りると、正面の扉の前では、マーガレット姐さまと他の姐聖女らが私らを出迎えてくれていた。

感動の再会で姐さまらに飛びつきたいところだが、厳かな儀式の前だ。そこはグッと抑えて落ち着いて挨拶をする。

これから神託を受ける者の形式に乗っ取った挨拶を。

「ラヴェンダー・タンザナイト、本日は成人の齢に達し、精霊王様のお言葉を授かりに参りました」

深く礼をしたのち頭を上げると、姐さまらは笑顔で頷いてくれる。

「よく戻ってきましたね、ラヴィ。大聖女様が儀式の間で待っていますよ」

「ラヴィはお手伝いで何度も儀式を見ているから説明は要らないね?行きましょう」

「は、はい」

そうして、中へと案内される。儀式の間は神殿の最奥にあり、姐聖女らの後をついて歩く。後ろにはファビオとミモザさんもいる。
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