秘匿されし聖女が、邪に牙を剥ける時〜神殿を追放された聖女は、乙女ゲームの横行を許さない

『祈る』力ではなく、邪悪と『戦う』力を持つ聖女。

唯一無二の特別な力を自然界から、精霊王様から与えられた、聖女。

その特異な聖力は、個人的な私利私欲や、似たような『戦う力』を持つ魔術師に狙われやすいため、力を秘匿しながら日々を過ごしていく命を与えられている。

誰が【秘匿されし聖女】かを知るのは、王家とそれに準ずる者ーー王家に近しい公爵家、そして、神殿の上層部のみ。

そしてーー御世界に、邪悪なる力が蔓延る時。【秘匿されし聖女】は立ち上がり、その力を以て、邪悪を滅ぼす。

そういう使命があるのだ。



座学で話に聞いていただけの言い伝えのようなものだと思っていたが。

まさか、私が……信じられない。



「……大聖女様の、皆さまの見立て通りですか」



確認したくて、恐る恐る問う。

王太子様やアゼリア様、ルビネスタ公爵様も、マーガレット姐さまも、私の奇妙な聖力の詳細を知っていた上で【魅了】を解いたと判断したのだ。

私の質問に、大聖女様は「ええ」と簡潔に返事をした。



「ラヴィ、こちらにいらっしゃい。【浄化】の聖女についてお話ししましょう」
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