秘匿されし聖女が、邪に牙を剥ける時〜神殿を追放された聖女は、乙女ゲームの横行を許さない

大聖女様も気付いていたのか、一度頷いてから再び口を開く。

「……恐らく。毒入りスープを食べてもラヴィが無傷だったのは、【浄化】の力が働いたのでしょう。たらればの話に過ぎませんが、ひょっとしたらラヴィが給仕をしていたら、鍋自体が浄化され、被毒被害がなかったかもしれません」

「そんな……!」

「ですが、事件が明るみにならなければ、ひょっとしたらアトレイが次なる手立てに出ていて被害が甚大になっていたかもわかりませんし、私らも貴女に不思議な力があることを特定するのが遅れたかもしれません。だから、仲間を救えなかったと自分を責める必要はありませんよ」

「……」

納得できるような、出来ないような。

結果として、みんな無事だったから言えることであって。何とも言えない複雑な感情ではあったが、そこは噛み砕いて飲み込むしかない。

「文献にも、先代の【浄化】の聖女もラヴィのように、食事に毒が入っていても浄化されてしまうので毒味係が必要なかったと書いてありますね」

「え!」

「それに、食事中、周りで毒に侵された人がいれば、すぐに浄化できて、人の命を救ったこともあるーーと」

人間毒消し……!
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