秘匿されし聖女が、邪に牙を剥ける時〜神殿を追放された聖女は、乙女ゲームの横行を許さない

そこで私はハッと気付く。

「ひ、ひょっとしてワラビ草のアク抜きも」

「人体に害するものを浄化してしまうのですから、ひょっとすると、ですね」

「えっ!」

日常生活にも役立っていた……!



と、なると。ここでまた疑問が押し寄せてくる。

初めてワラビ草のアク抜きが上手くいったのは、約二年前である。

その頃から、私の【浄化】の力が覚醒していた?



「だ、大聖女様っ。私は、私は何故、成人前に、神託を受ける前に力が覚醒してしまったのでしょうか」



そこが、大問題なのだと思う。

神託を受ける成人前の聖女見習いが、何の前触れもなく聖力が覚醒してしまった。

これによりちょっとした混乱が生じてしまった、と。



湧き上がった疑問を直球でぶつけたのだが、大聖女様は「ええ」と一呼吸置く。

そして、受け止めて答えてくれる。



「ーー御世界に、異世界の【邪悪なる気】が蔓延る時。【秘匿されし聖女】が、牙を向ける」



儀式の間に静かに響く、大聖女様の低い声。

私も神託で耳にした、精霊王様からのお言葉だった。
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