秘匿されし聖女が、邪に牙を剥ける時〜神殿を追放された聖女は、乙女ゲームの横行を許さない
「これでさっさと嫁でも迎えてくれりゃ、隠居できんだけどな。……ラヴィ、アルの嫁になるか?おまえなら大歓迎だぞ?」
「ちょっ、公爵様!」
「わははは」
笑えない冗談に、ルビネスタ公爵様は豪快に笑っていらっしゃるが。
こんな王都を追放されたという窮地に追いやられた身で、そんな冗談はキツイ。
私、一応罪人認定されてるんですよ?!公爵家の醜聞になります!
公子様本人が去った後で良かった……。
でも……あの公子様のお嫁さん。気持ちが少しでもドキッと跳ねてしまったのは、内緒だけど。
思い返すと、顔が熱くなって心臓がドキドキうるさい。
……アルフォード公子様。
一瞬ではあったが、再会の再会を果たしたそのお姿をもう一度思い出しては、胸を高鳴らせる。
公子様、昔は令嬢よりも綺麗な顔立ちで、笑顔が素敵だった。
今もそれは変わらないまま、大人の男性へと成長している。
そんな彼が……私の目の前に現れた。
過去の憧れの男性が、立派に成長した姿で目の前に現れて、胸の高鳴りは治まらなかった。