秘匿されし聖女が、邪に牙を剥ける時〜神殿を追放された聖女は、乙女ゲームの横行を許さない
第十四章 ラベンダー畑で待ってる場合じゃない(アルフォード視点)
○○○
斜め上から見ていた自分のいる世界を、きちんとまっすぐ見られるようになった。
そんなきっかけを与えてくれた、彼女。
……だが、会うのはそれっきりとなる。
てっきり、彼女も自分の婚約者候補の令嬢なのだと思っていたら、父から『聖女見習いで神殿に身を置いているので対象外。ただ遊びに来ただけだっつーの!この自意識過剰!』と言われて落胆したのを覚えている。
その上、他と一緒で碌な令嬢ではないのだろうと、自己紹介を聞き流していて、ろくすっぽ名前を覚えていなかった。この日ほど自分を恨んだことはない。
名前……何だろう。
あのラベンダー畑が由来の名前。色関連で『ヴィオレット』とか?それとも?
だなんて、そのまんま『ラヴェンダー』という変わった名前だとは思いもしなかった。
だから、数年の時を越えて再会した時にはビックリしたものだ。
しかし、記憶というものはきっかけがあればみるみると蘇るもので。
彼女とラベンダー畑で二人。白い帽子から伸びる薄紫が透ける銀髪と、凛とした横顔を目にして、あの時の彼女で間違いないと気付く。
『全ては、精霊王様の思し召しです!』
……本当に、そうなのかもしれない。
斜め上から見ていた自分のいる世界を、きちんとまっすぐ見られるようになった。
そんなきっかけを与えてくれた、彼女。
……だが、会うのはそれっきりとなる。
てっきり、彼女も自分の婚約者候補の令嬢なのだと思っていたら、父から『聖女見習いで神殿に身を置いているので対象外。ただ遊びに来ただけだっつーの!この自意識過剰!』と言われて落胆したのを覚えている。
その上、他と一緒で碌な令嬢ではないのだろうと、自己紹介を聞き流していて、ろくすっぽ名前を覚えていなかった。この日ほど自分を恨んだことはない。
名前……何だろう。
あのラベンダー畑が由来の名前。色関連で『ヴィオレット』とか?それとも?
だなんて、そのまんま『ラヴェンダー』という変わった名前だとは思いもしなかった。
だから、数年の時を越えて再会した時にはビックリしたものだ。
しかし、記憶というものはきっかけがあればみるみると蘇るもので。
彼女とラベンダー畑で二人。白い帽子から伸びる薄紫が透ける銀髪と、凛とした横顔を目にして、あの時の彼女で間違いないと気付く。
『全ては、精霊王様の思し召しです!』
……本当に、そうなのかもしれない。