秘匿されし聖女が、邪に牙を剥ける時〜神殿を追放された聖女は、乙女ゲームの横行を許さない
「いや……」
方角と位置からして、あの地点は人通りの多い街中だ。そんなところに煙が立ち上るような爆撃など、被害が計り知れない。
それに、あの方角は……大神殿だ。
(ラヴィ……!)
奇襲、警戒を知らせる鐘が鳴り響き、現場から離れているここ王城にも、緊張感が増して張り詰める。
「いったい何の騒ぎだ?!」
エリシオンが振り向いて声を上げると、侍従が室内に駆け込んでくる。
「で、殿下っ!ご報告致します!」
ーー全ては、精霊王の思し召し。
ならば……。
「じ、城下の西の……大神殿が、邪気による襲撃を受けました!」
「じゃ、邪気だと?!」
……自分に出来ることを、今ここでやるしかない。
「敵襲は誰だ?!まさかっ……おい、ランクルーザーを呼べ!準備出来次第、速やかに大神殿へと向かう!……あっ!アル、何処に行くんだっ?!アル!」
君の元へ、前を向け突き進め。
こんなところで立ち止まって、待っている場合じゃないんだ。