秘匿されし聖女が、邪に牙を剥ける時〜神殿を追放された聖女は、乙女ゲームの横行を許さない

ハーレム?攻略対象?ばっどえんど?運営?

意味不明な単語を次々と口にし始めたローズマリー令嬢に、私は呆然とする。と、同時に恐ろしくなってきた。

嫌だ……気味が悪い。意味不明な単語がどんどん出てくる。もしや、そのきゃらとかばっどえんどとかいう聞き慣れない単語は、もしや……禁忌術の詠唱なんだろうか。

それに、私をちゅうぼす?とか、魔物に姿を変えるとか言い始めているあたり、頭がおかしくなってるに違いない。

あわわ……これはもう、大乱心だ!



ローズマリー令嬢の大乱心に泡食っていた私だが、傍にいる大聖女様は違った。いつも穏やかな表情が今回ばかりは険しい。



「トルコバス侯爵令嬢……貴女からは膨大な量の【邪気】が感じられます。やはり、禁忌に手を出したのですね……!」



大聖女様もとうとう認識したのだ。ローズマリー令嬢の赤いてんとう虫……彼女の邪気を。

これは、更なる確信となる。

そんな生きた証拠を大聖女様は叩きつけて、宣告した。のだが……。



「……は?邪気?何それ」



対するローズマリー令嬢は、目を細めて怪訝そうだ。
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