秘匿されし聖女が、邪に牙を剥ける時〜神殿を追放された聖女は、乙女ゲームの横行を許さない

私は、『アルフォード様が何故、こんな事をしなくてはならなかったのか』という理由を知りたくて、王都までやってきた。

なのに、その理由とは結局、ローズマリー令嬢の妄想的な物語による勝手な都合だった。

そんな乙女ゲームのために、アルフォード様らが振り回されたようなもので。

アルフォード様は、自身を蔑むほどの後悔を抱えて……!



お風呂の女神だか、ハーレムルートだか。イベントだか、断罪だか知らないが。

王太子様、アゼリア様らの信頼関係を壊そうとし、皆を傷付け。

挙げ句の果てには、国とその民の平和と安寧を願う神殿を悪とし、大聖女様を亡き者にしようとするなんて。

そんな陳腐な妄想物語がこの国に横行するなど……そんなの許さない!



「……許さない!」



乙女ゲームそのものに対する怒りを吐き出すかのように、一言吠えた。

目眩や痛み、そんなものは堪えて、大聖女様に手を掛けようとする令息にむかって、ドン!と、おもいっきり体当たりする。

令息に身体ごと突っ込んで接触したその時、あの赤いてんとう虫、邪気が顔の周りをチラついていて、思わず手で振り払った。

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