秘匿されし聖女が、邪に牙を剥ける時〜神殿を追放された聖女は、乙女ゲームの横行を許さない
大聖女様には近づけさせない。
乙女ゲームとやらの思い通りにはさせないんだから!
そんな思いで、僅かばかりの抵抗を示した。
小柄な私が年頃の令息に体当たりしたところで、たかが知れている。とは、思ったのだが。
「ううっ!……うわあぁぁっ!」
その令息は急に叫び出して、バターン!と倒れてしまった。
頭を抱えて地に這いずり、悶えているようだ。
……あれ。私の体当たり、とても痛かったのだろうか。
とは、思う間もなく、同じく【魅了】に侵された男性らがゾロゾロとこちらに、痛手で動くこともままならない大聖女様に次々と、手を伸ばそうとしてくる。
…‥数が多過ぎて、どうにもならない!
「近づいてこないで!……大聖女様!」
自分らを取り囲んでくる男性らを前に、私は大聖女様のお身体をギュッと抱いて覆い被さる。
私の身はどうなっても、絶対大聖女様には触れさせない。私の親代わりとして、優しく時には厳しく接してくれた大聖女様。絶対に護るんだから!
そんな思いで大聖女様を庇う手に力を込め、目をギュッと瞑る。