秘匿されし聖女が、邪に牙を剥ける時〜神殿を追放された聖女は、乙女ゲームの横行を許さない

何故ならば、ファビオの背後には、未だ大聖女様に手を伸ばそうとする男性の姿があったからだ。

……危ない!

だが、同時にファビオもその存在に「おっ?」と気付く。

そして、懐から素早く取り出したのは、あの、庭師の必需品・剪定バサミだった。

「背後には気をつけろ!ってか?ぷぷっ」

おちゃらけながらも振り返り、その剪定バサミの先をビシッと男性の眼前に突き付ける。

そして……あっと驚く光景を目にするのだった。

剪定バサミの先には、急激に白い光が集中し、強い輝きを見せる。



「聖域防衛《フェビルディスト》!」



先程、聖騎士であるアルフォード様が見せた技と同じものだ。……剣ではなく、剪定バサミだけど。

一斉に放たれた白い光に包まれ、男性は後方に吹き飛ばされる。

その後ろに控えていた男性らを巻き込んで、地に倒れていった。



「……え?え?その技!ファビオ、聖騎士だったの?!」

「むふふーん。ちょっとしたチートよ!」

「ちーと?」

「まあまあまあ。……それより」

ファビオは途端に目を細めて、目つきをグッと鋭くさせる。

その視線の先は……あの、ローズマリー令嬢だった。

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