秘匿されし聖女が、邪に牙を剥ける時〜神殿を追放された聖女は、乙女ゲームの横行を許さない
「……ちっ。ユリ様をこんな目に合わせやがって。あのソープ女」
と、舌打ちしては、声色低くして呟くファビオ。
普段とは違うファビオの顔付きに、少しだけ恐ろしくなり、ゾクッとしたのは言うまでもない。
その、そーぷ?女、もといローズマリー令嬢はというと、アルフォード様らが登場してから、様子を変えていた。
「……アル?アルなのね!来てくれたのね!」
……いや、様子というか、コロッと態度が変わったというか。
両手を胸の前でお祈りするかのように組み、目を潤つかせた笑顔を見せて、アルフォード様の登場に歓喜しているよう。
先程までの私たちに対する高圧的な態度は何だったのかと思えるぐらいの早変わりだ。
「……ローズ」
「神殿の悪行を暴くために今日、乗り込むって把握してくれてたのね!アルなら来てくれると信じてた!」
「い、いや……」
「国を護るためにさあ、一緒に戦いましょう!」
「アルフォードルート、生きてた……!」と、感激して何やら呟きながら、ローズマリー令嬢はアルフォード様に手を差し出す。
この手を取れ、と。