秘匿されし聖女が、邪に牙を剥ける時〜神殿を追放された聖女は、乙女ゲームの横行を許さない

侯爵令嬢が王太子とその側近を侍らすという、そんな異常事態の光景が日常。

学園はもちろん、社交界でも彼女らの噂で持ちきりとなっていた。



もはや醜聞となっていたこの状態。放置しておけばますます深傷になると考え、動き出したのは、彼らの親。

自分らの子が、婚約者を放置して他の令嬢に懸想することに苦言を呈する。

が、盲目的になっている彼らが、たかが親の注意に耳を貸すことはなかった。



「……んっとに、頭が痛かったわ、あの時は。アルに婚約者がいなかったのが、せめてもの救いでよ?」

「本当にお疲れ様でしたね、あの時は」

「棒読みか」




……そして、彼らの婚約者らも動き出す。

明らかな醜聞を、すぐ止めるように説得する者もいれば、また苦言を呈する者も。

だが、もちろん同様に耳を貸さず。……寧ろ、彼らの反発心を煽ってしまった。

『婚約者』という立場から、それは彼女に対する嫉妬ではないのか?

彼女に危害を加えるつもりではないのか?
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