秘匿されし聖女が、邪に牙を剥ける時〜神殿を追放された聖女は、乙女ゲームの横行を許さない
第十七章 愛していたいと笑ったから
○○○






《……ラヴィ、ごめんね》



まるで温かい真綿に包まれているかのように心地良く、ウトウトとしていた時。

ふと、お母さまの声が聞こえたような気がした。

久しぶりのお母さまの声だ。嬉しい。

……でも、ごめんねって何ですか。

謝られるようなことは、今までもなかったような。



すると、私の問いに返答してくれるかのように、再びお母さまの声が聞こえた。



《……私のせいで、ラヴィを驚かせたり迷惑かけちゃって。本当にごめんね》



それは、いったい何のことを言ってるんだろう。わからない。

……でも、お風呂に浸かっているような気持ち良い感覚の中である私。

お母さまの声が聞けたから、そんなことどうでもいいや。

だなんて、全て良しみたいな感覚になっている。

良いですよ、お母さま……。

出来れば、またお母さまの歌が聞きたいです。

夜、眠る時に歌ってくれた、あの歌。

あの歌を……。






『ホームランかっとばせタイローン♪レフトーへ♪ライトへー♪』



……いや、こんな歌じゃない。



(……はっ!)
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