秘匿されし聖女が、邪に牙を剥ける時〜神殿を追放された聖女は、乙女ゲームの横行を許さない
声がしたと思ったら、駆け寄って早々と姿を見せたのは、アルフォード様だった。
何やら焦っている様子で。
「ラヴィ、良かった!目が覚めて!……ファビオ、目が覚めたらすぐに知らせるよう言っただろう!」
「だって、つい今よ?今!俺、瞬間移動はさすがにムリだよー」
笑うファビオをジロリと睨み、何故かムキになっているアルフォード様。
怒ったお顔も素敵です。……だなんて、呑気な事を言ってる場合ではない。
今、目が覚めたであろうこの私。何故、寝ていたのか、ここはどこなのか何やらさっぱりで混乱状態なのだ。
確か、私は神殿が襲撃されて、ローズマリー令嬢と対峙してそれから……!
……それから、どうなった?
状況を整理しようと頭を抱えていると、私の様子を察したのか、ファビオが教えてくれた。
「ここは、王宮の客室であーる。ラヴィ、おまえさんは【浄化】の力を使い過ぎたせいか、三日間寝っぱなしだったのだよ。で、王宮に保護されてる状態」
「え!三日も!ほ、保護!」
三日も寝ていただなんて、どれだけ聖力を使い過ぎたのか。
ローズマリー令嬢の邪気は、どれほど強大なものだったのかが窺える。