秘匿されし聖女が、邪に牙を剥ける時〜神殿を追放された聖女は、乙女ゲームの横行を許さない
「し、神殿は?大聖女様は?ローズマリー令嬢は?!」
「神殿は儀式の間が大破してしまったが、他は無事だよ。修繕作業ももう始まっている」
「ラヴィ、おまえさんが護ってくれたから、ユリ様も軽いケガで済み、もう復活しとるで!神殿のみんなも無事だぞ?」
私の意識が眠りの中にあった三日間。
アルフォード様とファビオが教えてくれた、事の顛末とはーーこうだった。
私があの時、全力疾走で邪気の中を走り抜け、ローズマリー令嬢に体当たり、羽交い締め……ではなく、飛び掛かって組み付いたその時。
私の身体全体から、溢れんばかりの膨大な量の聖力が放たれ、ローズマリー令嬢だけではなく、辺り一体を包み込んだそうだ。
アンデッドのように襲い掛かり続けた、ローズマリー令嬢が連れてきた男たちは動きを止め、皆、頭を抱えてその場に倒れ込んだ。
しばらく意識がなかったもの、目が覚めた時には正気に戻っていたよう。【魅了】が解けたようだった。
私に【浄化】されたローズマリー令嬢も、私には組み付かれたまま意識を失っていた。
……私たちお互い、くっついて重なったまま意識を失っていたという奇妙な絵だったそうだ。