秘匿されし聖女が、邪に牙を剥ける時〜神殿を追放された聖女は、乙女ゲームの横行を許さない
そこで何気なく目にした光景……ピンクブロンドの髪を持つ美しい令嬢と、まるで護衛かの如く彼女を取り囲み行動を共にする王太子殿下や貴族令息らの姿に異様な既視感を覚える。
意識が吸い込まれるように、彼らから目を離せず。次に襲ってくるのは、意識を失いそうになる程の激しい頭痛だった。
そして、頭痛と共に頭の中に映像が途切れ途切れに流れ込んでくる。
薄暗い一室で、光を発する石板の前には汚い声で怪しく笑う女性の声。
《うふっ、うふうふうふ……アフ愛最高ぉぉぉ》
《あぁっ、あぁっ、アル様ぁ……》
……あぁ、この世界は。
かつて、自分が生きていた世界で造られた『空想』の世界と、全く同じ世界だ。
【アフロディーテの愛が世界を救う】
略して『アフ愛』という、女性に人気のゲームの世界。
繊細で美しい作画に人気が出て、グッズが飛ぶように売れ、ノベルやアニメまで出た、女神アフロディーテの力を手に入れた主人公ローズマリーのシンデレラストーリー。
イケメン貴族令息との交流を経て、好感度を上げていく、所謂乙女ゲームだ。
しかし、アニメ版ではカットされているが、原作のゲームはおもいっきり18禁である。