秘匿されし聖女が、邪に牙を剥ける時〜神殿を追放された聖女は、乙女ゲームの横行を許さない
何故、元高校球児であるパリピ大学生の自分が乙女ゲームなんぞ知ってるのかと言うと……三つ上の引きこもり傾向の姉が、このゲームを好んで、夜な夜なやり込みまくっていたからだ。
ノベルも読まされ、熱心にアニメを見ていたのも知っている。
自室で、パソコンの画面に映るイケメン攻略対象のR18セクシーショットを前に自慰していたのを目撃してしまった時には、ホラーでも見ているような衝撃だったが。
そんな引きこもりの姉とは対象的に、自分は高校まで野球をやっていた大学生だった。
講義そっちのけで、バイト、酒や合コン、夜遊び、プロ野球観戦などに毎日明け暮れる、ザ・ポジティブなパリピ大学生。
それが、『前世の自分』だった。
とある日、バイトから帰宅すると、階段の向こうが何やら騒がしい。
階段を二段昇って様子を伺うと、すぐそこでは母と姉が何やら、かなり激しく掴み合いの口論をしているではないか。
『ゲームばっかやってないで、ちゃんと就職しなさい!』という母の怒鳴り声が聞こえるあたり、恐らく、姉の引きこもりに母が苛立ちを感じて喝を入れに行ったのだろう。
いつものことか。やれやれ。