秘匿されし聖女が、邪に牙を剥ける時〜神殿を追放された聖女は、乙女ゲームの横行を許さない

と、思っていたら、突然。

階上から母と姉が同時に降ってきた。

恐らく、掴み合いが激化し、共に階段から足を滑らせたのだろう。

恰幅の良いそんな二人の下敷きになった自分。そこで記憶が途切れている。

恐らく、圧死した。享年19歳。



……そして、今現在、こんな異世界。目の前には、ローズマリーもエリシオンも、姉の推しで自慰の餌食となっていたアルフォードもいる、空想のあの乙女ゲームの世界に自分はいる。

ラノベでよくある『転生』というやつ?まさか本当にあるとは。

しかも、自分なんのキャラ?ファビオなんてキャラ知らない。モブか!

任務に着きながらも、脳内が混乱してどうしていいかわからなかった。

かと言って、自分は恐らく転生者である。だなんて、他の誰かに言ってしまったものなら、気狂いでも起こしたかと神官長や聖騎士の前に連れて行かれるだろう。

脳内混乱したまま、一人秘密を抱えていた。



ーーだが、秘密を暴かれることになるのは間もなく。

そのきっかけとは、聖力保持者なら誰でも通る道である、16歳を迎える『神託』の儀でのことだった。

< 377 / 399 >

この作品をシェア

pagetop