秘匿されし聖女が、邪に牙を剥ける時〜神殿を追放された聖女は、乙女ゲームの横行を許さない
暗部の者であろうと例外はなく、聖力保持者は皆、16歳になったら『神託』を受けるのがこの国の掟。
自分も大聖女に見守られながら、密かに儀式に臨むこととなったのだ。
神託の儀では、精霊王からのお告げを授かり、自分の役割を知る。と、いうのだが。
……しかし、自分の神託は『例外』だったのだ。
聖力の光に包まれて、見えたもの聞こえたものとは、精霊王の声……なのか?
《……お願い、助けて!転生者!》
白く発する光の中で、目の前に現れたのは……一人の女性だった。
銀髪が光に透けて薄紫に輝く、翠の瞳の女性。
この人が精霊王……?
「プリムラ?!……プリムラなのですか!」
すると、そこで女性に呼び掛けたのは、立会人である大聖女だった。
目を見開いて、驚愕を隠しきれていない。
だが、大聖女の呼び掛けに答えることはなく、プリムラと呼ばれた女性は必死で自分に話しかけてきた。
《この世界が、異世界の【邪悪なる気】に襲われているわ!……でも、私のせいで、邪悪に対抗する【秘匿されし聖女】が神託を受けていないの!私が【時戻り】を使い過ぎたせいで……!》