秘匿されし聖女が、邪に牙を剥ける時〜神殿を追放された聖女は、乙女ゲームの横行を許さない
邪悪なる気?【秘匿されし聖女】?
何なんだ、それは。
転生者と見破られただけでもパニックになっているというのに、意味不明な話を持ちかけられ、またまた脳内混乱だ。
神託ってこんなんなの?
だが、自分の混乱もお構いなしに、プリムラは自分に懇願してくる。
《お願い、異世界からの転生者!貴方はこの物語の結末を知っている!邪悪を阻止して、王家を、この国を護って!……お願い!》
そこで、白い光と共に女性の姿は消えた。
目の前の光景は、儀式前と変わらず。傍には大聖女がいて。
「ファビオ……貴方は転生者だったのですか」
「……」
「事情を聞かせて下さい」
事情?そんなもんわかんねえ。こっちが聞きたいさ。
……と、言わせる間もなく。自分は別室に通され、大聖女と二人。自分の知っている、理解している話を伝えることとなった。
学園潜入中に、ローズマリーらの姿を目にして前世の記憶が蘇ったこと。
自分の生きていた前世の世界では、この世界を忠実に模写したゲームがあること。その内容も伝えた。
「なんて破廉恥な物語ですか」と、大聖女の眉間に皺が寄っていたが。