秘匿されし聖女が、邪に牙を剥ける時〜神殿を追放された聖女は、乙女ゲームの横行を許さない
いったい、何が何なのか。
大聖女も同様のことを思ったらしく、自分が語る物語の内容を踏まえて、大聖女と考察を重ねる。
「調査してみましょう」
その一言を皮切りに、自分は物語の主役となるヒロイン・ローズマリーとその近辺を調査し洗い出すことなった。
ちなみに、神託の儀に突然登場した女性は、精霊王ではない。
【秘匿されし聖女】という、邪気に対抗する神殿の切り札で、数年前に討伐遠征で高位魔獣と対峙した際、邪気に侵され、伴侶と共に他界していた聖女だったという。
大聖女とも共に、神殿にて聖女の活動をしていたという、数年前まで生きていた【時戻り】の聖女。プリムラ・タンザナイト伯爵夫人という実在した人物だったのだ。
ーーそれでは何故、精霊王ではなく彼女が現れたのか?
「……そもそも、ファビオ。『転生者』がこの神託の儀を受けるーーつまり、聖力保持者になることなど、あり得ないのですから」
本来、異世界からの転生した魂は『邪悪なる気』と見做されるのが、この聖エレメント教に言い伝えられていることらしい。
異世界からの転生者がこの世界に降り立つ度に、決まって邪気を伴う重大事件が引き起こされるという。