秘匿されし聖女が、邪に牙を剥ける時〜神殿を追放された聖女は、乙女ゲームの横行を許さない

その邪気を伴う異世界から来た魂を祓い、対抗するのが【秘匿されし聖女】であるというのだ。



異世界からの転生者は、邪気を伴う?

だが、自分は確かにその対となる聖力保持者だ。

……これも、わけがわからん。



だが、背筋が凍ったのは言うまでもない。

転生者である自分は、この世界では邪悪なる存在。

自分もいずれは、【秘匿されし聖女】に消されるのか……?



その胸の内をポロッと呟くと、「そんなことはありません!」と、大聖女に全否定される。

「転生者でありながら、聖力を与えられ……きっと、これは精霊王様の思し召しです。貴方の存在によって、プリムラからの警告を受け取り、これから起こる邪気からの危機に備えることが出来るのですから」

「大聖女様……」

「ファビオ、邪気とは自身の『欲望』の質で大きくも小さくもなります。異世界からの邪気を含んだ魂はきっと、この世界を壊すほどの何らかの欲望、野望を備えていると考えられます。……ファビオ、貴方にはこの世界をどうにかしたいという野望はありますか?」

「……」

いや、何もない。

< 382 / 399 >

この作品をシェア

pagetop