秘匿されし聖女が、邪に牙を剥ける時〜神殿を追放された聖女は、乙女ゲームの横行を許さない
その邪気を伴う異世界から来た魂を祓い、対抗するのが【秘匿されし聖女】であるというのだ。
異世界からの転生者は、邪気を伴う?
だが、自分は確かにその対となる聖力保持者だ。
……これも、わけがわからん。
だが、背筋が凍ったのは言うまでもない。
転生者である自分は、この世界では邪悪なる存在。
自分もいずれは、【秘匿されし聖女】に消されるのか……?
その胸の内をポロッと呟くと、「そんなことはありません!」と、大聖女に全否定される。
「転生者でありながら、聖力を与えられ……きっと、これは精霊王様の思し召しです。貴方の存在によって、プリムラからの警告を受け取り、これから起こる邪気からの危機に備えることが出来るのですから」
「大聖女様……」
「ファビオ、邪気とは自身の『欲望』の質で大きくも小さくもなります。異世界からの邪気を含んだ魂はきっと、この世界を壊すほどの何らかの欲望、野望を備えていると考えられます。……ファビオ、貴方にはこの世界をどうにかしたいという野望はありますか?」
「……」
いや、何もない。