秘匿されし聖女が、邪に牙を剥ける時〜神殿を追放された聖女は、乙女ゲームの横行を許さない
……だが、こちらには対抗する術がない。ローズマリーの邪気を食い止める【秘匿されし聖女】が神託前でその特殊な力が発現していないのだ。ローズマリーが【邪悪なる気】とわかったところで、どうもこうもならない。
彼女ーーラヴェンダーが神託を受ける16歳になるまで、こちらはこちらのやり方でどうにか国家の揺らぎを食い止めねばならない。
王太子殿下の婚約者であるアゼリア・ガーネット公爵令嬢は、その立場ゆえに令息らから毎日のように非難を浴びているとのこと。
アゼリアには匿名で文を出す。『王太子殿下らは禁忌に囚われている可能性がある。暫し注視せよ』と。
そのおかげか、アゼリアも陰で動き始めた。
ーーそして、奇跡が起きたのだ。
【秘匿されし聖女】が、成人を待たずにその力が発現。
【魅了】に囚われた者たちを次々と解放していった。……本人は無自覚のようだったが。
ローズマリーが異変に気付き、彼女らを消しに動いた時は焦ったが……紆余曲折、いろいろありながらもこうして解決に至ったのだ。