秘匿されし聖女が、邪に牙を剥ける時〜神殿を追放された聖女は、乙女ゲームの横行を許さない
……だが、その後の報告はなく、日々が過ぎて行く。
三日で覚醒したラヴィは現在、体力の回復のため王宮に保護されている状態。
アルがラヴィの傍を離れず王宮に泊まり込み、甲斐甲斐しく世話をしているようだ。領地に戻る素振りもない。
ラヴィもだいぶ回復し、世話が必要なほど弱っているわけじゃない。
しかし、それでもアルフォードはラヴィの傍を離れない。意地張っているのかと思えるほど。アルフォードもこんな、令嬢にベタベタと侍るキャラじゃなかったはずなんだけどな。まだ魅了にかかってんの?
だが……二人で仲睦まじくお茶をしてる姿だとか、庭園を散歩している姿だとかは微笑ましく、温かく見守ってやろうかとは思った。
王宮に留まること、一か月。
今後の話をするため、大聖女らがラヴィの元へと訪れた。
ラヴィへの冤罪はもちろん晴れているが、神殿に戻るのか?
今後、どこに身を置くか。どうするのか。
ラヴィは貴族令嬢ではあるが、両親を失い、兄は聖騎士団にかかりきりで、はっきり言って貴族令嬢としての活動、社交をしていない。
聖女として生きるなら神殿に身を置くしかない。でも、大聖女は敢えての選択をラヴィに提示した。