秘匿されし聖女が、邪に牙を剥ける時〜神殿を追放された聖女は、乙女ゲームの横行を許さない
対する、ラヴィの選択とは……。
「一度、公爵領へと戻ります……」
照れ臭そうにアルフォードに寄り添いながら、そう答えた。
おっ。おおっ。一瞬盛り上がってしまったが……あぁ、そうか。その意味を察してしまった。
アルフォードが密に企画していた誕生日パーティーを、一か月遅れではあるが開催してもらうというのか。
ラベンダー畑、大丈夫かな。なんて、余計な心配もしながら。
まあ、あれだけの大きな事が起きたんだ。ゆっくり考える時間も必要だろう。
……そして、その数日後。ラヴィを伴ってルビネスタ公爵家御一行は、揃って領地に帰還することになったのだった。
……ん?ファビオ。おまえ何故着いてくる?
「俺も一応まだ公爵家の庭師見習いでーす」って?あほか。おまえの正体なんぞ、もうバレバレだ。殿下と神殿は大丈夫なのか?
おまえも誕生日パーティーに参加したいクチか。
そんなこんなで、数台連なる馬車の公爵家御一行は、数日かけてルビネスタ公爵領へと戻る。
道中……予想通り、愚息とラヴィのあまりの仲睦まじさに、我々の視線は生温かくなるしかなかった。