秘匿されし聖女が、邪に牙を剥ける時〜神殿を追放された聖女は、乙女ゲームの横行を許さない

使用人らの歓喜もわかる。皆の望んでいた結果が、二人がようやく結ばれたかと思われる光景なのだ。

恥ずかしながら、おっさんだって内心盛り上がってしまったぞ。

窓に齧り付くように、二人の様子に釘付けとなる。

そんな中、妻の「ふふっ」と笑う声が聞こえた。



「……あなた、今日はとても良い日ですね」

「……ああ」

「プリムラとセドリックも、空から祝福してると思いますよ」

「ああ。でも、しかし……二人が婚約となるとな、ラヴィは公爵夫人となるわけだから、貴族令嬢として早急にデビュタントの準備もせねばならんし、人脈作りのために学園に行かねばならんし、婚約三年でラヴィが学園卒業と共に結婚、そうなると領地と王都で二人は遠距離恋愛と……」

「旦那様。そんなのは後でいいですから。今は心から喜びましょう。二人の門出を」

「……すまん」
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