秘匿されし聖女が、邪に牙を剥ける時〜神殿を追放された聖女は、乙女ゲームの横行を許さない
そして、王太子だけではない。側近の令息らも皆、次々と令嬢から離れていったのである。
まるで、引き潮のように。
夢から醒めたかのように。
正気に戻った、ともいえる。
あまりにも想定の範囲を超えた、掌返しの掌返しであったこの騒動は、社交界を天変地異のように揺るがせた。
婦人らの茶会での恰好の話題となり、新聞記事にまでなるほど。
令嬢が禁忌の魅了に手を出し失敗に終わったのでは、とか。神殿や魔塔の魔術師団、国家権力が動いたのでは、とか。
人々のさまざまな憶測が飛び交う。
……しかし。
まさか、この騒動劇は。
とある一人の少女の『特別な力』によって覆された結果だったとは。
誰も、知る由がなかった。
○○
秘匿されし聖女が、邪に牙を剥ける時
〜神殿を追放された聖女は、乙女ゲームの横行を許さない
○○