秘匿されし聖女が、邪に牙を剥ける時〜神殿を追放された聖女は、乙女ゲームの横行を許さない
驚きの連続だ。
早速出かける、外出って……私、ここに追放されてきた罪人のはずでは?
罪人がそんなおもてなしを受ける扱いされてもいいのだろうか。
「で、でも、私っ」
「なぁーに。ここは俺の領地だ。誰にも文句は言わせねえ」
「パァーっと遊ぶだなんて……」
「え?金のことは心配するな。俺を誰だと思ってる。ジュエリティア王国第二の都市レディニアを治めるルビネスタ公爵サマだぞ!」
そうじゃなくて!
ニッコニコの公爵様に頭をぐしゃぐしゃと撫でられた後、肩を抱かれて連れて行かれる。
と、思ったら。
「父上」
私らの前に立ちはだかったのは、公爵様の子息、アルフォード様だった。
気持ち、冷めた視線を実父に送る。
「なんだ何だ、アルフォード。俺はちとラヴィと出掛けてくるから、そこをどけ」
「……まさか。本日のご予定、お忘れですか?」
「ごよてい?」
「これから、ラッドハード伯爵夫妻がご来訪するのをお忘れですか?南地方への出荷に関する大事な打ち合わせがお有りでしょう」
「あっ……」
公爵様は、しまった!といった泡食った顔になる。
どうやら、ご予定をお忘れだったらしい。