秘匿されし聖女が、邪に牙を剥ける時〜神殿を追放された聖女は、乙女ゲームの横行を許さない
糾弾されることもなければ、擁護もない。
私がやったと思っているのか、いないのか。そんな簡潔な返答だけでは、思惑が読めない。
それに、軟禁されて情報を遮断されている私には、何もわからない。
事件の捜査がどう進んでいるのか、毒に侵された同僚たちの安否すら知らされなかったのだ。
私の知らないところで話がどう進められているのか、何をどう思われているのかわからなくて、それが逆に恐ろしかった。
そして、事件から数日経ったある日。
軟禁が続いていた私の部屋に揃ってまた現れたのは、大聖女様と神官長だった。
神殿を治める御二方に、私は簡潔に沙汰を言い渡される。
『すぐ様この神殿を出て、ルビネスタ公爵領に身を移せ。神殿に戻ることは許されない』ーーーと。
私の中の何かがガラガラと崩れていく。
これは……実質、追放だ。
神殿側は、この事件の犯人が私だと断定したのだ。
『そ、そんな……犯人は私じゃありません!私はやってません!なのに、何故私が神殿を追放となるのですか!……大聖女様!神官長様!』