秘匿されし聖女が、邪に牙を剥ける時〜神殿を追放された聖女は、乙女ゲームの横行を許さない
それは、私が冤罪とはいえ罪人認定されている身だし、それに、居候させてもらって、公爵家にはかなり迷惑をかけているはずなのに、その上お祝い事など。本当に恐縮。ただそれだけだ。
でも、反面…長年憧れていたアルフォード様に誕生日をお祝いしてもらえるのは、本当に嬉しい。とは、思う。
しかし、図々しくないだろうか私。
喜びと恐縮で、胸の中は拮抗している。
それに……。
「でも、三日後にこのレディニアの公爵邸では夜会が開催されるのでは……」
実は三日後に、このレディニアの公爵邸では夜会が開かれる。
近隣の貴族らや、ルビネスタ公爵家と縁が深い者らを招待した、毎年開催される定期的な夜会が。
その準備のために、公爵夫妻や公子であるアルフォード様も忙しくされている。
「そんなお忙しい最中なのに……」
「大丈夫だよ。誕生日は夜会の後だろう?そんな大々的なパーティーにはしないから、安心して?ごく親しい身近な者だけを呼んだささやかなパーティーにするよ」
規模の問題ではないのですが!……しかし、その余裕そうな笑顔を見るに、アルフォード様の頭の中では、もうある程度の計画がなされているようだった。