さよならのキスと最後の涙
オーストリアは中央ヨーロッパの国で、首都はウィーン。公用語はドイツ語。モーツァルト、シューベルトの出身国。クラシック音楽大国として知られ、名門オーケストラや国立歌劇場、音楽学校を擁するウィーンは「音楽の都」と呼ばれている。

そんなすごい場所に先輩は行ってしまうのか。

図書室でオーストリアについて調べ、ため息をつく。

四年は短いように見えて、長い。四年も先輩と離れ離れになるなんて、正直言って辛い。

いや、今はインターネットで世界のどこにいても繋がることができる。先輩とはネットを通じて話したりすることは可能じゃないか。寂しがることなどどこにも……。

必死に寂しさを誤魔化そうとするが、あふれてくるのは寂しさだけ。しかし、それを先輩に告げてしまったら、先輩は留学することを止めてしまうかもしれない。

俺のわがままに、先輩を振り回してしまうのはだめだ。でも、この気持ちをどう整理したらいいんだろう?

「結局、いつも幸せは泡沫なんだ…」

ポツリと呟いた。
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