私とあいつ 俺とお前

ガチャ

「どうぞ。」

あれから、立派なエレベーターに乗せられ、立派なドアが並ぶ場所を歩かされ、てか、地面がカーペットってどういうことよ?!

そして、あいつの自宅であろう立派なドアを開けて今、玄関に立っている。
「立派」という言葉しか、出てこない。

「上がれよ。」
「え?あ、うん。お、お邪魔します。」

ぼっとしちゃってたよ。
いや、誰だってこんな場所急に連れてこられたら、ぼっとしちゃうよ。
てかこんなに普通に入っていいのだろうか?
いや、でも一応拒否したよね?
え、したよね?
した、はず.......

「おい、またぼっとしてんのか。
早くしろ、親帰ってくるから。」
「え、あ、うん。ごめん。」

ていうか、なんで謝ってんの?
無理やり連れきたのそちら様じゃん。

痛みを我慢しながら、ローファーを脱いでいると、

ガチャ

玄関のドアが開いた。

「ただいま。」

え、
そっと振り返ると、綺麗な女性が口を開けて立っている。

うわぁ、綺麗な人。彼女かな?
いや、いるでしょうねこんなにイケメンだったら普通に。

「うわ、帰ってくるの早すぎだろ。」

救急箱を持ったあいつが奥の部屋から出てきて言った。

ていうか、私ここにいちゃダメだよね。
この綺麗な人が、ほんとに彼女なら私誤解されるんじゃ。

「あ、あの、お邪魔してます。ていうかもう帰ります。お邪魔しました。」

そう言い、ドアノブに手をかけ、出ていこうとすると、

「おい、待て。この人おふくろ。」

え?
この見た目で、高校生の息子さんをお持ちなのですかこの方は。

振り返って、目が点になっている私の顔を見て、次は隣のあいつのお母さんに笑われた。

「面白い子ね。」
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