イジワル御曹司と契約妻のかりそめ新婚生活


「どっち? ……あ。郁人もお弁当」
「ちぇー、じゃあ、ひとりで外に食べに行ってきます」
「一緒に食べてもいいけど」
「嫌ですよ、おふたりのお邪魔虫みたいに見られるじゃないですか!」


そして、郁人がいないときは私をお昼に誘ってくれるようになったのだ。
そのせいなのか、他の女子社員から少し距離を置いてるように見えて心配だったけれど、彼女は飄々としたものだ。


『元々、気が向いた人としか喋ってないので』


私のせいで他の人との付き合いに支障が出てはいけないと声をかけたら、そんな風に返された。
メンタルが強いのか、自由なのか。
良くも悪くもあるだろうけど、私はかっこいいなあと思う。

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