イジワル御曹司と契約妻のかりそめ新婚生活

安定した収入。家事はちゃんと分担でやってくれて基本自分のことは自分でやる、手のかからない旦那様。
干渉しあわないから喧嘩も起こらず、穏やかな生活。人に話せば羨まれるしかないだろう。

一緒に図書館に出かけた時に『新婚さんはいいわね』なんて穏やかな老夫婦から声をかけられたことがある。傍目には、そんな理想的な夫婦に見えているのかと思うとちょっと笑ってしまう。


目を瞑っていれば、幸せだ。
人はこうやって、鈍感になることを覚えていくのかもしれないな。


なんて、他人事のフリで心理解析なんてやっているうちは、まだ余裕があるってことだろうか。


「最近佐々木さんお仕事大変そうですね」


昼休み、ひとりお弁当を食べる私の隣に、河内さんがコンビニのサンドイッチとテイクアウトのコーヒーをふたつ持ってやってきた。

< 133 / 269 >

この作品をシェア

pagetop