イジワル御曹司と契約妻のかりそめ新婚生活

テレビを流し見ながら、リビングのソファでクリアファイルを手に郁人の帰りを待つ。
今夜も、遅い。今までは深く考えなかったけれど、いくら仕事の多い人だからといって、こう毎夜毎夜深夜近くになるのはおかしい。ような気がする。

……彼女に会ってるのだろうか。
だけど、毎夜彼女に会ってるなら、今日のように会社に乗り込んでくることはない気がするけれど。

その辺りのことも、上手く聞けたらいいが、まず第一は、彼の家族関係について聞くのが最優先だ。
頭の中で聞き出す内容の優先順位の確認をして、頷いていた時、玄関で音がした。

「ただいま。……どうした?」

リビングに入ってきた彼は、ソファから立ち上がった私の顔を見て、怪訝そうに眉根を寄せる。
< 169 / 269 >

この作品をシェア

pagetop